舞台「オセロー」初日に行ってきたよ
舞台「オセロー」初日に行ってきました。
新鮮なうちに雑感です。一部ネタバレあります。
まず、入り口付近に上演タイムテーブルが掲示されているんだけど、3幕にも分かれている舞台は初めて見た。
(え、そんなにあるの!?)
途中15分、30分の休憩がそれぞれあるのでトータル約4時間ですって…ビビった。
フライヤーを無事に手に入れ、おトイレを済ませ、さてパンフレットを買おうかなと筋書売場(これがもう、ほんとにレトロ感たっぷりで素敵!!)に並ぼうとしたら、ら。
列どこまであるの!?
この時すでに開演15分前でしたが、無事に購入し、着席。私の席は上手一番はじ。
見にくさはあまり感じませんでしたが、この通路通っちゃう!?とかドキドキ感はなかったです。
あと、イアーゴーの立ち位置がほぼほぼ下手側でした。(ちょっぴりだけ残念)
まず、1幕開いて船のゴンドラが素敵。
ふおおおおおここはヴェニスの街!と一気に世界に引き込まれる。
セットはこれが一番好きでした。
最初の見所はやはり1幕最後、イアーゴーひとりのシーン。
狂気。
一言で狂気。
高笑いバーン!
雷ドーン!!バリバリ!!
そしてセットの地球儀をなぞってぽーんと放り投げて。(かる〜くヘリウム入ってたのかな?高く投げると結構滞空してた。)
彼の世界は、彼の手の中という暗示かな〜と。
幕間の休憩で急いで筋書きやキャストのインタビューなど読む。
私、ほんとにシェイクスピア苦手で台本とかも一行読んでは居眠りこいて一行読んでは読み飛ばし、行きつ戻りつなんのこっちゃいな学生時代をすごしておりまして。
そもそも登場人物の名前も覚えられなくてなんとかーリオって誰だっけ?状態になるので前情報は欲しいタイプ。
なるほどなるほどと。
買ってよかった、読んどいてよかった。
そして物語が動き始める2幕。
イアーゴーほぼ出ずっぱり。
すごい。
この役を25日連続、しかも1日2回演公演の日もある、というのはすごい命削って、命燃やしてという期間になると思います。
尊敬する。
計り知れないほどのエネルギー必要だもん。
神山くんのお芝居は、好きになってから以前出ていたドラマとかをちょこっと見ただけで、思ってたよりこの子演技上手なんだなぁ~。彼の歌もダンスも好きだけどお芝居も結構好きだなぁ~。
くらいの印象でしたが。
どえらいもん持ってるなこの人。
とても舞台映えする人。
もちろんアイドルだからそのオーラでしょ?っていうのもあるかもしれないのだけど。
まず声質がとても良い。よく通る。
イアーゴーのセリフで聞き取りにくいなって思うことはまずなかった。がなったりするところも多いけれどそれでも。耳触りが良い。
でも、この感じでいくと喉を潰しかねないと感じたので、本当に日々のケアして上演期間乗り越えてくださいと祈る気持ち。
そして表情、特に目の芝居。
自分がセリフを言っていない時の芝居も、独白から普通のセリフに戻るところの切り替えも実に見事でした。
憑依型の役者さんにみえたけれど、
緻密に計算して積み上げ型の役者さんなのかも知れない。
もしそうだとしたら、その作業はとても楽しくもあり、ものすごく苦しいものだと思うなぁ。
いずれにしてもかなり消耗すると思う。
だって、パンフレットのインタビューに「嫉妬という感情を感じたことはないから役作りが大変でした」ってウソかホントかわからないけど答えてて、はぁ~~~~!?このアイドル戦国時代にそんな甘っちょろいこと言ってるの!?ちょっと、やだ~キャラ作りじゃないノォ~~??
と、ごめんなさい正直思ってしまったのですが、だとしたらですよ。
味わったことのない感情を、芝居で表現するってかなり難しいよ。
それを、見事に生き切って。
素晴らしい。
いろんなプレッシャーもあったでしょう。
だって、3時間の舞台にほぼ出ずっぱりってだけでもプレッシャーに押しつぶされてゲロ吐いて死にそうだもん。
それでも、あれだけの役をできるどえらい役者がジャニーズWESTにいるんだなぁ、すごいなぁって思いました。
ジャニーズ事務所、すごいの隠しすぎ!
だって仮によ?今日来ていたお客さんで、神山くんのファン、ジャニーズWESTのファンを除いて。
そのほかの共演者さんのファンの方や、ご年配の方もたくさんいらして。
ジャニーズWEST神山智洋ってどれだけの方がご存じなの?と。
そういう方たちに聞いて回りたい。
イアーゴー役の人どうでした?って。
ご本人はテレビの人になりたいのかもしれないけれど、わからないけど。
板の人間、神山智洋
めっちゃかっこよかったので、また見たいなと思いました。
歌もダンスも上手いんだしミュージカルとかいいんじゃない?
俳優で生きていけるな、この人。と思った。大げさかもしれないけれど。
あと、これは完全に私の好みなのですが衣装がすごい似合ってた。
カーキ色の軍服。
お尻がきゅっと締まってて足が細くてサイズ感がとても好きでした。
あと、不意打ちのキスシーンが可愛くてドキッとした。
ちゅっ!て!!
話を大筋に戻すと、私は誰一人感情移入できないままで話が進みました。しんどかった。
正直、えーっ!?そうなっちゃう?の連続。
イアーゴーは事あるごとに「正直者の」イアーゴーって呼ばれてたけど、この台詞は刷り込みなんだろなぁ。
自分へも、相手へも。観客にも。
だからオセローはイアーゴーの口車に乗って信じちゃう。簡単に。イアーゴーは正直物だって自分自信に刷り込んでるからね。本当に信頼していたのかもしれないけれど。
自分の目で見てもないのに。
それまで自信に満ち溢れて朗々としていたのに、切り替わり、早っ!!って。
古典作品なので仕方ないですが、所々古いなぁ考え方、へっ。と思ってしまった。それもまた見ていてしんどさを増した。
話が進んでくると、ひとり感情移入できる登場人物が出て来ました。
イアーゴーの妻、エミーリアです。
物語の終盤、デズデモーナと女二人で語り合うシーンはグッときました。
劇中通して一番響いた台詞は、イアーゴーに刺されたあと、息も絶え絶えになりながらデズデモーナの無実をそばにいるオセローに話すんですよ。ハンカチのこととかね。で、全て伝え終わったあと
「嗚呼、私は本当のことを言えた、これで魂が救われた。嗚呼、私は、死にます」
そして息絶えるエミーリア。
ここ、本当によかった。
自分に嘘つかず正直にいるのはやっぱり大切で誇り高い事だなって。忘れないようにその場で反芻しました。
エミーリア役の前田亜季さんのお芝居も好きだったなぁ。
カーテンコールのイアーゴー、もとい神山くん、深々とお辞儀して、グッと自分の膝を掴んで、顔を上げた時には晴れやかな顔。
とにかくまずは1公演やり切ったぞ、という気持ちだったんだろうなぁ…。
カーテンコールはそのあと2回あって、2回めの最後の方で中村さんが神山くんの手をとって促してくださって、神山くんが客席にお手振りして軽い悲鳴が起こったのはちょっと面白かった。ずっとイアーゴーだったもんね、みんなちょっとでも神山くん見られて嬉しかったよね!!
3回めはスタンディングオベーションで演出の井上さん、音楽の松任谷さんも登壇して、鳴り止まない拍手の中、幕が下りました。
神山智洋くん中心につらつらと語って参りましたが、本当に素晴らしい舞台でした。
歌舞伎の中村さん、宝塚の檀れいさん、ジャニーズの神山さん。
このエンターテイメントの三つ巴、すごいですよ。
シェイクスピア苦手な私でも、ググッと引き込まれて、正直座って見ていただけでもどっと疲労感…悲劇ですしね。
これ感情移入できる人物が多かったらもっとしんどいなぁと。
でも、演者さん特にイアーゴー本当に命がけで、しんどいだろうなぁと思いますが、命を削って輝いてください。
皆さま怪我なく、千秋楽まで走りきれますように、成功をお祈りしております。
手元にあるチケットは今日だけだったのですが、松竹の公式サイトでは千秋楽以外はまだまだお席が残っていたので、もう一度くらい行きたいなぁ…と言う気持ち。
ジャニーズ?興味ない。
演劇?興味ない。
という方にこそ是非ご覧いただきたいと思いました。
新橋演舞場にて、9月26日まで休演日なしで上演です。