ふらっと♭

フラットに、ふらっと。にゃもちろ庵

幕開け、第2章。

物心ついて、いちばん最初の夢はお医者さんだった。なぜかはわからない。セーラームーンにもなりたかった。地球を救いたかった。今まで自分のことを人一倍自分勝手な人間だと思っていた。でも、無意識に心のどこかで思っていたのかもしれない。

誰かの役にたちたい。

私にしかできない何かをしたい。

その後、アイドルにもなりなかったし、女優にもなりたかった。モー娘。になりたかった。誰かに元気をあげたい。頑張ってる人を応援をしたい。でも、顔が可愛かったりスタイルが良かったりおっぱいがないと芸能人は無理だ。小学生ならもう既にわかっている。自分がそこそこのレベルでしかないことを。哀しいけど、悟ってしまっている。

 

そして、私は出会った。

ある時は舞台の上で輝くスタア。またある時は帝都の平和を守り戦う乙女たち。サクラ大戦という作品は、その後の私の人生を変えた。正直、11歳でサクラ大戦に胸をときめかす女子児童はどうかと思うが、そんなことはどうでもいい。心がふるえるとはこういう事か。と。

そして声優という職業を知る。乙女たちの中身はおばさん(当時11歳です。すいません。)ということにものすごく衝撃をうけた。もちろん、いい意味で。この職業なら、美人じゃない私でも、目指しても許されるんじゃないか。

誰に許して欲しかったんだろうか?

アイドルになりたい。女優になりたい。じゃ、鼻で笑われて終わりだけれど。声優なら。どんな私にもなれる。お医者さんにもなれる。地球を救うことだってできる。私みたいな人に、夢を与えたり、頑張っている人の背中を押すことだってできる。なんだってできる。そこから約15年、それだけを夢、人生の目標として掲げて生きてきた。周りにはやりたいことが明確でいいね。とか、夢があっていいね。とか言われてきた。ずっと、そうやってそれだけで生きてきた。

 

結果から言うと、その夢は破れた。

演劇、芸能の道で食っていく、プロを目指すのはあきらめた。まったく後悔していないと言えば嘘になる。あの時こうしていたら、もしくはこうしていなかったらなどということはままある。でも、未練はない。すきなことを仕事にするというのは、難しいことだった。あのままプロを目指していたら、きっと私は芝居を嫌いになっていたかもしれない。それだけは、避けたかった。芝居、演劇で自分を表現することは、私にとってとても大切なことだったから。

演劇は趣味でもできる。

プロになるのをあきらめてすぐ、私は自分の劇団を立ちあげた。物理的な不自由はあったが、年1〜2回の定期公演を成功させるまでになった。何回めかの公演を見に来てくださった中学生時代の恩師(演劇部の顧問)がくれた言葉がある。

"それにしても、ちひろさんのバイタリティには驚きです。色々な人の居場所になってるんだろうなぁと思いました。"

バイタリティとは、いきいきとした生命力、活力。これを言われた当時も、もちろんとても嬉しかった。が、ここに来て今、すとんと心に落ちてきた。誰かの居場所になる。それは、狙ってできることではないと思うし、目標として掲げることではないかもしれない。ただ、頑張ってる人を応援したいとか、楽しいことを共有して笑いあいたいとか、倒れそうな時は支えてあげたいとか、自分の夢破れた今も、その思いは変わらない。対象はより身近な人になるだろうけれど、でも私の生命力で、誰かを笑顔にしたい。誰かの居場所になりたい。地球は救えないかもしれない。でも、誰かの、目の前にある世界は救えるかもしれない。それによって、私の世界もより輝くかもしれない。その手段はわからないけれど。

誰かの居場所になりたい。

自分ひとりでは、叶えられない夢。上等じゃないか。

私は今までどおり、今日も素直に私を生きるだけ。

2015/11/22